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離婚の基礎知識

まずは冷静になり、なぜ・どのような理由で離婚を考えているのかを整理してみる。

 今離婚を考えている理由は何が原因ですか??

 離婚事由には不貞行為・悪意の遺棄・3年以上の生死不明・相手が強度の精神病にかかり、回復の見
 込みがない場合・婚姻の継続が困難な重大な事由がある場合の5つが規定されております。
 協議での離婚は上記の理由がなくともいつでも離婚できますが、一方が離婚に反対の場合、上記の理
 由が必要となります。
 
 離婚の協議がすでに整っている場合はスムーズに離婚はできるでしょうけれども、一方的に離婚をお
 考えの場合、どの理由にあたる離婚なのかをまず確認しておく必要があります。

離婚以外に道はありませんか??

 離婚をすると育児、生活、場合によっては職場環境が大きく変わります。
 本当に離婚以外に方法はありませんか??
 
 たとえば別居。別居することによりお互いの良いところ、そしてお互い直すべきところが見え、それを
 きっかけとして夫婦仲が戻った例もあります。
 離婚の手続き専門家が申し上げるのもなんですが、やはり離婚が回避できるならそれにこしたことは
 ございません。暴力や家庭放棄など婚姻生活を継続できない場合はとにかく、話し合いで解決できる
 のであればじっくり話し合うことが重要です。感情的になる場合が多いので行政書士などの専門家を
 間に入れて話し合えば冷静に意見を主張できるでしょう。

離婚の種類

 離婚には大きく分けて4つの類型があります。協議離婚・調停離婚・審判離婚・裁判による離婚です。

 もっとも多いのが協議離婚です。これは話し合いによる離婚のことで離婚の8〜9割はこれに該当し
 ます。協議離婚は費用がほとんど掛からず、お互い合意の上なされるので一番理に適っているといえ
 るでしょう。
 協議で折り合いがつかなければ家庭裁判所に調停を申し立てることになります。
 これは家庭裁判所に出頭し調停委員を交え、お互いの主張を聞き、どのように離婚することが適当か
 を双方に提案します。その提案に双方納得すれば調停離婚が成立します。

 どうしても合意できない場合、場合によっては審判による離婚がなされます。
 これは家庭裁判所が双方の主張・事情を総合的に考慮し、相当と認められるときになされるもので、
 当事者双方が申し立てによりなされるものではありません。

 実際は審判離婚をしても通常双方合意に達していないので、異議申し立てをし、裁判上の離婚へ移行
 するケースが多いようです。裁判上の離婚になると双方徹底抗戦になるので時間と費用が掛かること
 は覚悟しなくてはなりません。そうならないようできるだけ協議で離婚できる環境に持ち込んでおきたい
 ところです。

離婚の際必ず決めるべき3つのポイント

 どうしても離婚以外に道はないと決断なされた場合、具体的にどのように離婚をするかを決めていく
 ことになります。

 離婚に際し重要なのは離婚後の生活、親権者・監護者、子がいる場合養育費です。
 特に重要なのは離婚後も健やかに暮らしていけることです。

 離婚した場合もやはり以前と同じように食べていかなければいけませんので収入源は今後どうしていく
 のかは考えていなければなりません。

親権・監護権

 子が未成年者の場合親権者の指定をしなければなりません。

 そもそも親権とは未成年の子を監護・教育し(身上監護権)、財産を管理する(財産管理権)身分上・財
 産上の権利を総称していいます。ちなみに親権と監護権は似て非なるものであり、後者は子を引き取
 って育てる権利をいいます。

 親権は上記のとおり身上監護権と財産管理権からなり通常は同一人物に帰属しますが、例えば父が
 仕事で遅くまで帰れず子を十分にめんどうをみてあげられない場合などは親権者は父、監護者は母と
 いうように分けることも可能です。

 ちなみに注意したいのが監護者はいつでも自由に変えることができますが、親権者は一旦定めたら容
 易に変えることはできず、もし変更する場合は家庭裁判所の許可を必要とします。

 ですからどなたが親権者になるかは慎重に考える必要があります。
 ちなみに目安ですが、乳飲み子から小学校低学年までは母が親権者、小学校高学年は子の意向を
 考慮しつつどちらが親権者かを決めるというのが一般的です。
 通常はやはり母が親権者になるケースが多いようです。

養育費

 未成年の子がいる場合、子を養育するために養育費が必要です。
 養育費は子が成年に達するまでもしくは離婚した父もしくは母が再婚し、再婚相手が子を縁組したとき
 まで支払う必要があります。ちなみに再婚相手が縁組した場合、再婚相手が養育費を負担することに
 なります。
 ちなみに養育費の相場は3万円〜6万円が目安です。年収・生活状況などすべてを考慮して算定する
 ケースがほとんどです。もし養育費で双方納得がいかない場合は家庭裁判所に養育費請求の調停を
 申し立てて決めることになります。

 この養育費、実は途中で払わなくなるケースが多く、それが原因でトラブルがよく起こっているというの
 が現実です。

 養育費支払い請求訴訟を提起することも可能ですが、やはりそうなると時間もお金もかかり訴訟期日
 のたびに出廷したりと大変な手間が掛かります。
 そこで強くおすすめしたいのが強制執行認諾文言付き公正証書です。
 これはなにかというと、離婚協議書に養育費支払いについて延滞があれば強制執行できる旨の文言を
 付け加えることにより裁判なくして直接その公正証書をもって強制執行ができることが大きな特色です。

 つまり離婚協議書を強制執行認諾文言付き公正証書にすることで無用な裁判を提起せずに済み、無駄
 な出費を抑えることができます。また滞納のたびに毎回強制執行手続きをとる必要もなく、たった1回  の手続きで毎月差し押さえができるので時間と手間が大幅に節約できます。
 以上の理由から養育費が発生する場合、公正証書にて作成することを強くおすすめします。

財産分与

 財産分与とは結婚生活の清算を意味します。
 つまりこれまで結婚生活で築きあげてきた財産をお互いで分け合いましょうというものです。
 よく誤解されがちなのですが、この財産分与は慰謝料とはまったく異なるものです。
 慰謝料は離婚でいうところの例えば不貞行為・ドメスティックバイオレンスなどにおける精神的・肉体的
 損害賠償のことを指しますが財産分与はあくまで清算行為です。
  財産分与は離婚後の生活を大きく左右するものなのできっちりどのように分与するか決めましょう。
 間違っても離婚を急ぐあまり財産分与について何も決めなかった、なんてことはあってはなりません。

 財産分与の事例ですが一般的には半々が多いようですが、収入・離婚後の環境など総合的に判断して
 決めるので一概にはいえません。

 分ける財産は土地・建物、預金など婚姻生活に際して築いてきたものが対象になります。
 財産分与はお金に関することなので特に養育費と同じく必ず文書にして残してください。
 せっかく分与が決まっても口約束ではあとあとトラブルになります。

 財産分与は離婚後2年間という期間制限があります。これを過ぎるともはや請求することは不可能でき
 ません。ですから離婚と同時に財産分与を行うことが望ましいといえるでしょう。

慰謝料

 離婚といえば慰謝料を連想される方も多いのではないでしょうか??
 慰謝料とは浮気、ドメスティックバイオレンスなどで精神的・肉体的損害を被った場合に支払われる不
 法行為による損害賠償を指します。したがって離婚したらかならず慰謝料が発生するわけではありませ
 ん。例えば性格の不一致や金銭感覚の違いなどで離婚をする場合、原則として慰謝料は生じません。
 不法な行為があって初めて生ずる権利だからです。

 さて、それでは慰謝料ですがだいたい100万円〜300万円くらいが相場です。
 もちろん離婚する双方の収入・生活環境など総合的に考慮してから決めますので、あくまで目安として
 の金額です。テレビなんかで慰謝料何億円もとるケースが報道されることがありますが、あくまでもそれ
 だけの収入があるからその金額になっているだけで通常はそんな額にはほぼなり得ません。

 慰謝料請求期間ですが離婚に際して申し上げますと、離婚後3年以内に請求する必要があります。
 (不法行為による損害賠償請求は不法行為を知ってから3年もしくは不法行為から20年経過すること
 により時効消滅します。)
 特に不貞行為、いわゆる浮気により離婚をする場合、浮気相手にも原則として慰謝料請求できます。

 ただし、その浮気相手があなたという配偶者の存在を知らなかった場合やあなたの配偶者がその浮気
 相手に「自分は独身である」などとウソを言っていた場合、あなたの存在を知らないのでその場合には
 その浮気相手に慰謝料請求はできません。あくまで配偶者がいるにもかかわず不貞行為を行ったとい
 うことが必要です。

 慰謝料についてはまずは協議によって決め、はなしがまとまらなければ専門家に相談してみましょう。
 

離婚後の氏・戸籍

 離婚をすると婚姻により氏を改めた配偶者は婚姻前の氏に戻ります。
 ただし、離婚後3ヶ月以内に届出をすることにより離婚前の氏を名乗ることができます。
 この期間を過ぎてしまうと氏を変更するには家庭裁判所の許可を得なればなりません。
 この手続きは結構めんどうなのでどちらの氏を名乗るかは子供のことも考慮に入れつつ決めましょう。
 さて、次は子の氏ですが離婚しても子の氏はなにも変わりません。

 ここで注意したいのは氏についてなにも手続きをしないと母が婚姻により改姓しているとして、母は婚姻
 前の氏に戻り、子は離婚前の氏そのままということになるので氏が子と異なることになります。
 そうなると特に子の学校生活において名前が母と異なるということで少なからず影響が出てくることもあ
 り得ます。そうならないように注意してください。

忘れてはいけない離婚後の各種保険・年金手続き

 意外と忘れがちなのがこの保険手続きです。おそらくたいていの方が夫の健康保険に加入されている
 方が多いので離婚に伴い社会保険から国民健康保険へ加入する必要が出てきます。 
 ちなみに離婚後に就職が決まればその会社の健康保険に加入することになるでしょう。

 婚姻中、夫の国保に加入していたケースで離婚をし母親が子を引き取って育てる場合は、子も夫の保
 険から抜いて母の国保に加入することになります。

 年金についてですが会社員や公務員などの配偶者は第3号被保険者として加入されております。
 離婚後すぐに就職が決まっているような場合は第2号保険者として加入、離婚すぐに働けない場合は
 第1号保険者として加入することになります。
 特に放置して保険料の延滞が長引くと年金需給資格を失うことになりますので要注意です。
 また離婚には年金分割制度というものがあるのでこちらも積極的に利用しましょう。
 保険・年金等で不明な点があらば社会保険事務所などで確認してみてください。

面接交流権

 親権者または監護者にならなかった父または母が子供に会って一緒に時間を過ごす権利をいいます。
 離婚しても親と子という関係は失われることはありません。離婚しても子にあう権利はあるわけです。
 しかし、離婚後子に会わせたくないというトラブルもよく見受けられます。
 そこでそのようなトラブルが起こらないように面接交流についてしっかりと取り決めをしておきましょう。
 具体的には月に何回会うのか?会う時間・場所・連絡方法から学校の行事の参加・外泊の可否など
 を決めます。双方納得できればどのように決めてもかまいません。

 注意したいのはこの取り決めをきちんと書面で残しておくことです。親権・監護権を持っている方がどう
 しても有利ですので例えば気が変わり子を会わせてくれないようになってしまい、そこを無理に会おうと
 すると面接交流を制限されてしまうことも・・・。
 これを防ぐには面接交流について細かく取り決め、それを文書にすることが重要です。

子育て支援制度を利用する

 特にシングルマザーの女性は経済的自立には時間がかかる場合が多いものです。
 そこで経済的に少しでも負担を軽くするため積極的に利用しましょう。代表的な例を挙げます。

 母子福祉資金貸付・・・子家庭の母及び児童、寡婦等に対し、その経済的自立の助成と生活意欲の助
 長を図り、あわせてその扶養している児童(子)の福祉をはかるための制度です。

 児童手当・・・3歳未満に月1万5000円、3歳〜中学生に月1万円支給される。第三子以降の(3〜12
 歳)は月1万5000円です。※旧、こども手当は2011年10月に廃止。2012年4月より施行。

 児童育成手当・・・18歳未満の児童の母子(父子)家庭または児童を扶養している方(離婚・父母の生死
 不明・死亡・重度の障害者・姻外子の扶養者)が対象。 ちなみに児童育成手当ては各都道府県、市町
 村により取り扱いの有無があります。詳細は各自治体に確認してみてください。

 児童扶養手当・・・父母の離婚・死亡などによって、父または母と生計を同じくしていない児童につい
 て、手当を支給する制度です。全部支給で月額 41,550円、一部支給で所得に応じ、41,540円 9,810
 円までの10円刻みの額となります。平成24年4月より施行。

 ひとり親家庭の医療費助成・・・母子家庭の母および児童、父子家庭の父および児童、父母のない児童
 の保健の向上と福祉の増進を図るため、一定の所得 額未満の人に医療費の助成を行う制度。

 他にもいろいろとありますので各自治体などで利用できるものを確認されてみてください。

内縁の夫・妻と離婚

 内縁は夫婦生活という実態はあるが婚姻届を出していないので法律上夫婦とは認められておりませ
 ん。したがって相続もできないし氏も変更することはできません。
 しかし事実上の夫婦生活はあるので内縁関係解消について一部離婚の規定を類推適用しています。
 内縁関係を解消した場合、財産分与をすることができます。つまり内縁関係で積み上げてきた財産を
 清算することができますので財産分与請求をすることがでします。
 また夫婦の同居義務・扶養義務も適用されます。またお互いの貞操を守る義務もあります。
 貞操を守る義務があるので浮気など行うと慰謝料を請求されることになります。
 また子が授かっている場合、子は原則として母親の籍に入ります。ただし、夫が認知している場合は夫
 の籍に入ることもできます。内縁を解消すると子を引き取って育てる側は養育費を請求することができ
 ます。内縁を解消しても親子関係は切れません。通常は母の籍に子が入っている場合がほとんどなの
 で、母が夫に養育費を請求することになります。ちなみに夫が子を認知しないと夫から養育費はとれま
 せんので夫に子を認知してもらう必要があります。認知しない場合、強制認知の訴えを提起することが
 できます。
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